UPDATE: 2020/04/06

横浜みなとみらい地区でオープンイノベーションを活性化させるOneMMの存在

  • twitter
  • mail
  • LINE

 年の瀬の12月26日に、横浜・関内のYOXO BOXにて「OneMM(ワンエムエム)大忘年会ライトニングトーク大会」が開催された。横浜市は、2019年1月に、研究者・技術者、起業家、学生などの人材が、組織を越えてネットワークを広げ、新たなイノベーションを横浜から創出していく、「イノベーション都市・横浜」を宣言。みなとみらい21地区をはじめYOXO BOXのある関内などに拠点のある研究開発拠点や民間企業、大学、ベンチャーなどによりイノベーション人材の交流機会が形成されつつある。

 そうした中で、オープンイノベーションの活性化を目指した有志団体「OneMM」の活動報告および所属者を中心とした交流会が今回のイベントである。オープンイノベーションに興味のある人々も数多く集まり、ライトニングトーク大会では大学のサークル活動的なノリで大いに盛り上がりを見せた。

 まずは、OneMMに参加する野村総研の土井 建さんと川﨑 万莉さんにより、どういった団体なのかの説明から始まった。

 

川﨑 万莉さん

 「横濱OneMM(通称オネム)」は、横浜みなとみらい地区に社屋がある人たちが集まり、企業のロケーションを活かしたコラボレーションを進めていきたい、と思ったのが発端だ。

 最初に集まったのが、野村総合研究所と富士ゼロックス、日揮の3社。そのメンバーが個人的につながりのある人を募り、8社集まって活動を開始した。「みなとみらい地域に根ざした企業間交流やオープンイノベーションを推進していきたいのですが、結構ゆるさを大事にしており、メンバー間のコミュニケーションも上下関係も会社の枠も関係なく、同じ地域に会社があるというところを大事にしています」と川﨑 万莉さんは語り、Slackでコミュニケーションをとっているという。

 「たとえば、『ランチ』というチャネルがあり、『今日○○へランチ行く人』と呼びかければ、2、3人は必ず集まり、多いときは10人規模にもなります。会社であったことや、今課題に思っていることなどを話しながら、そういう視点もあるんだと感じることができます」(川﨑 万莉さん)

 1回目の集いでは、それぞれの会社でどんな事業をやっているのか、相互理解を深めていくことを行なった。「大きい企業ほど縦割りになっていて、部門が違うと全く知り合いがいなかったり、いつも集まるのが同じ部署のメンバーだったり、あるいは若手やベテランとのコネクションがないというようなケースがあります。そこで各社がもっている有志活動により、もっと会社の中のリソースをたくさん知って、社内で何ができるのか、もっと枠を広げて考えられるようにすることが、大きな目標の1つだと思っています」と川﨑 万莉さんは語った。

 また、富士ゼロックスの場合、商品であるコピー機を開発者たちが分解する「こぴざんまい」というイベントがあった。マグロ解体ショーのように、解体して取り出した部品を紹介。エンジニアや部品メーカーにスポットをあてて、自分たちの作っている製品を色んな人に対してアピールし、モチベーションをあげる活動をしている。

 川﨑 万莉さんは「こうした活動は、部署内だけだと、なぜ大切な商品を分解しなければならないのか理解できず実現しないものだが、社内のさまざまなリソースに声をかけると、面白いからやろうという人が必ずいます。横の広がりが大切だということが実感できる事例です」と語った。

 第2回目はアセット整理と掛け算をテーマに、各社が持っているリソースをメンバーがポストイットに書き出して、それらを掛け合わせることで、できるアイデア出しを行なっている。

 「実際に事業になるかどうかは別にして、掛け算した中で、外とうまくやると面白いことができると感じられます。アイデアをSlackのチャネルにして、参加したメンバーが推進していく活動をおこなっています」(川﨑 万莉さん)

 そうした中で、横浜市もイノベーション都市構想を打ち出し、一緒にやっていけないかと打診したところ、今回のような場を設け、官民連携したオープンイノベーションを打ち出し推進する動きにつながっている。

 土井 健さんは、「どうやってOneMMで新しいイノベーションを起こしていくの。関内とみなとみらい、横浜市の3つが、お互いギブ&テイクして回していければいいかなと思っています。活動の次のステップとして、実現するためのビジョンをどう作っていくかですね」と語った。

 
野村総合研究所の土井 健さん。

 続いて、すでにOneMMに参加している人だけでなく、OneMMの取り組みに興味をもって集まった人たちによるライトニングトークが行なわれた。今回は、その中から何人かピックアップしてみた。

 横浜市経済局新産業想像課の石塚 清香さんは、「横浜でオープンイノベーションを興すにあたり、まず人材同士の摩擦を起こしたいということで横浜市イノベーション人材交流促進事業を開始しました。皆さんのような方が働いていらっしゃるみなとみらい地区の大企業や、YOXO BOXから旅立であろうベンチャーのみなさん、中小企業のみなさんを、兼業副業の仕組みを使って結びつけたいと思っています。

 ご自分の勤めている企業で兼業副業が禁止されているという場合でも、啓発や事例提供などを通じてハードルを下げるお手伝いができればと思います。前に一歩進んでいけるような取り組みにしていきたいです」と、人材交流の推進を求めた。

 千代田化工建設の武田 真樹さん。「いまやりたいことは、食のイノベーション。娘の弁当作りで空いたスペースを埋めたいけど何を入れたらいいのかや、残してきたものに対してどうすればいいのかなど、食のイノベーションによって楽しく解決したい」

 野村総合研究所の前原 良美さん。「秋頃にハッカソンをやる予定です。最近ぶち当たった壁が、有志団体だとものを作っても売りに出せず、お金を取りにいけません。有志活動をしているベテランのみなさまに、お金のとり方を教えてほしいですね」

 スタートアップ編集部・ガチ鈴木の由来。「コスプレファイターの長島 自演乙 雄一郎氏に取材へ伺ったとき、同じページで『〇〇はガチ』というネットスラングを紹介した記事を見て、『お前はガチ鈴木だな』と命名されました」

 Nature Innovation Groupの福田 和博さん。「傘のシェアリングサービス『アイカサ』は、スマホアプリ不要でLINEで友だちになるだけで、すぐに鍵付きの傘が使えるようになります。街中で傘シェアして、1日70円で使えるサービスです。柄のところにある3桁の鍵が付いている特殊な傘を利用。傘についているQRコードをスキャンすることで、すぐに使えます。渋谷でスタートし、横浜でも使えます」

 日揮の高野俊行さん。「夢はみなとみらいで企業の壁を超えて、各人が自分の能力知識経験持ち寄って活躍できる仕組み作れればいいなと思っています。例えば日揮のプロジェクトマネジメント出来る人間と、資生堂のデザイン専門家と、NRIのIT技術で、Lenovoの製品をベースに何かを作り上げる、とか。大企業だと、この壁を壊すことが難しいけれど、なんとか5年以内に実現したいと思っています。日本のイノベーションはみなとみらいで生まれます」

 忘年会らしく、余興まで行なわれたイベントは、お酒も入り集まった人たちと親睦を深めていったようだ。余興の一つに昨年のM-1グランプリで怒涛の勢いで優勝を勝ち取ったミルクボーイを数日で完コピしつつ「みなとみらい」にアレンジしたものも披露され、会場も大いに盛り上がった。

 こういった団体活動が発生することで、イノベーション都市・横浜が形成され、加速度的に発展して行くはず。興味のある方はぜひ参加してこの波に乗ろう。

SEE ALSO