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UPDATE: 2018/08/20

生き残りの鍵は「オープンイノベーション」

相鉄ビルマネジメント営業統括部長 エリアマネジメント担当 永井伸吾さん
京浜急行電鉄新規事業企画室 主査 橋本雄太さん

ともに大手鉄道グループに勤務し、ベンチャーとの連携事業を担う2人に、協業の意義や課題を聞きました。(文中敬称略)

■変えた方が面白い

―ご自身のプロフィールを教えてください。
永井 1990年に新卒で相模鉄道に入社し、鉄道部門にずっといました。線路を直したり駅舎を改修したりする「鉄道土木屋」です。施設部のあと、神奈川東部方面線(相鉄・JR直通線、相鉄・東急直通線)を担当する「プロジェクト推進部」で、すごい方向転換の仕事に携わらせてもらいました。「横浜まで行けばいいよね」という考えではなく、路線の途中から都心に直接行くという大変換です。少子高齢化が進み、郊外に住む人たちは次々にリタイアしている。都心に直接乗り入れ、サービス内容を変える必要があると考えました。そこでの取り組みを通じ、守るのではなく、一から変えた方が面白い仕事ができると感じました。
橋本  私は中途入社です。新卒で大手新聞社に入り、経営管理系の仕事をしたのちに外資系コンサルティング会社に入りました。困難に直面する日本企業をどうしたら変革できるか、ということが私の中の課題です。もう一回、日本企業で挑戦してみようと2017年春に京急電鉄に入りました。組織を変えるためには、外の血を入れていくことが大事と感じています。京急電鉄も盤石なビジネスをしてきましたが、人口減少などの困難を前に、新しいことにチャレンジしようとしています。外部から来た人間として、変革の力になりたいと思っています。

■リスク抑え多彩にチャレンジ

-実績もノウハウもある大企業がベンチャーと組む理由、メリットは?
永井 今までは鉄道を走らせ、沿線に住んでもらい、スーパーをつくっていれば安定的に儲かりました。しかし、これから人口減少と少子高齢化が進むため、同じやり方は通用しません。沿線の縮退を止めるためには、新しいことに取り組まなければいけないのです。
橋本 (協業相手として)ベンチャーはリスクが大きいと思われますが、実は逆だと思いま
す。大企業と組むと話が大きくなりがちで、時間もコストもかかります。ベンチャーは規模が大きくない分、能動的に色んなチャレンジをしてくれます。大企業としては彼らとの協業を増やすことで、チャレンジのリスクを下げられるメリットがあります。
-具体的な取り組み、成果は。
永井 昨年度高島屋さんと組み、横浜駅西口の活性化を目的に募集した「アクセラレーションプログラム」には約50社から応募がありました。うち3社がテストマーケティングに進み、2社のサービスを採用しました。うち1社のアイデアは、相鉄ジョイナスと高島屋の飲食店の空席情報を一覧表示するシステムです。最初は空きトイレを一覧表示するプランでしたが「飲食店でも使えるよね」と話し合って本格導入しました。利用者に好評です。
橋本 昨年10月、京急沿線の暮らしと、未来を豊かにするための「KEIKYUアクセラレータープログラム」を募集したところ187件の応募がありました。7社を採択し、今年4月から7月までテストマーケティングをしました。一例を挙げると、QRコード決済を羽田空港国際線ターミナル駅の観光案内所に導入し、羽田―品川間の乗車券を買えるようにしました。鉄道会社は新しいチャレンジが苦手ですが、協業によって大きく動きました。

■限られた有能ベンチャーが企業を選ぶ

-ベンチャーと連携する上での課題や、想定外だったことは。
永井 ベンチャーはマンパワーが3人、5人という規模の会社が多い。テストマーケティングを始めようと思ったら、人が足りなくてできないことが結構あります。それから、
アイデアを出していただいても、採用できるのはごく僅か。的確に見いだすための眼力が、(企業側に)非常に重要となります。
橋本 企業側がさまざまな協業プログラムを提供しており、逆にベンチャーが提携企業を選ぶ時代になっています。こちらのやりたいことをある程度明確にする必要がありますが、かといってイノベーションは不確実なところから生まれるので、テーマを絞りすぎてもいけません。その加減が難しいです。

■生き残りの鍵は「オープンイノベーション」

―横浜の街や企業の未来展望は。
橋本 20年後に今の当たり前は通用しません。ライフスタイルが大きく変わり、各企業のビジネスモデルは間違いなく変革を迫られるでしょう。大事なのは、自分たちの殻に閉じこもらず、きちんと外に対して開かれていること。時代の流れは加速していますが、外に開かれていればイノベーションの種が集まってきて、未来を見据えることができます。
永井 今、横浜に大企業が集まり始めています。大企業が集まると、人もベンチャー企業も集まってきます。そこで、MMや横浜駅西口だけでなく、横浜駅東口や関内、関外地区も含め、横浜全体でうまくオープンイノベーションを生みだせるかどうか。それが、激化する都市間競争を生き残る秘訣ではないかと思います。
―年代は二回り違いますが、お二人はいわばライバル。最後にエール交換をお願いします。
永井 若いのに素晴らしいですね。なんで相鉄に来てくれなかったんだろう(笑)。
橋本 オープンイノベーションに取り組んでいるのは、35~40歳の人が多い。永井さんの年代(50代)の方は、どちらかというと抵抗勢力です。永井さんのように地位も、責任もある方が必要性を理解し、外に向かって発信されるのはすごいことだと思います。尊敬します。

【プロフィール】
相鉄ビルマネジメント営業統括部長 エリアマネジメント担当 永井伸吾さん
横浜市中区出身。早稲田大学理工学部卒業後の1990年、相模鉄道に入社。工務部、東部方面線を担当するプロジェクト推進部、相鉄アーバンクリエイツなどを経て現職。

京浜急行電鉄新規事業企画室 主査 橋本雄太さん
群馬県館林市出身。早稲田大学文学部卒。大手新聞社、外資系コンサルティング会社を経て2017年4月に京浜急行電鉄入社。新規事業創出プログラム「KEIKYUアクセラレーター」の企画・運営など、全社のオープンイノベーションを推進している。

オープンイノベーションについれ語り合う橋本さん(左)と永井さん

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