Navigation Button

UPDATE: 2018/08/27

都市型R&Dとみなとみらいの可能性

みなとみらい21地区を上空から見る

※発言者五十音順
 ▽富士ゼロックス株式会社 お客様共創ラボラトリー シニアマネジャー
  稲垣 政富さん
 ▽株式会社村田製作所 新規事業推進部 新規事業推進5課 オープンイノベーション推進チーム マネージャー
  牛尾 隆一さん
 ▽株式会社富士通エフサス ビジネス企画推進本部 イノベーション&フューチャーセンター長
  桶谷 良介さん
▽株式会社資生堂 R&D戦略部 研究企画推進G マネージャー
  中西 裕子さん

みなとみらい(MM)エリアは今、日本を代表する大企業の本社やR&Dセンターが林立する「一大集積地」へと変ぼうを遂げています。ここで各社は何を目指しているのでしょうか。先駆けとなった富士ゼロックス、これから稼働を開始する村田製作所、資生堂の各社に加えて、2013年に新拠点を開設した富士通エフサスにも参加してもらい、4社のイノベーションに関わる方々に現在の取り組みや横浜の持つ可能性を語ってもらいました。(文中敬称略)

■大切なのは「新しい価値」を生み出すこと

 -皆さんにとってのイノベーションとは?

稲垣 政富さん

稲垣(富士ゼロックス) 自社だけではできないことを他社や外のコミュニティと一緒にやることで、短期的には自社のビジネスにつなげていく-というのが最初にあると思います。弊社は直販の「BtoB」なので…。よく世の中でイノベーションと言われるのは「技術」ベースが多いですが、最近思うのは「別に技術でなくてもいい」と。例えば、日本のあらゆるオフィスに弊社の複合機があって、営業職やサービスマンも部屋の中まで入っていけるわけです。セキュリティーの厳しい中で、そういう状況はなかなかない。だとしたら、弊社の持っているものと、その他社さんの何かを結び付けて良くなったり、あるいはビジネス事業を起こしたり…。これまでのイノベーションは、技術シーズとニーズのマッチングというのが非常に多いですが、もう少し上位でいうと会社としてのケイパビリティ(企業全体が持つ組織的能力)といいますか-今いい言葉が思い浮かばないのですが-営業力もあるし、サービスサポート力もあるし、技術力、製造力も…。これらのどれかが他社の何かと結び付いて、新しいものが生まれれば、それがイノベーションだ-そう考えています。だから、必ずしもテクノロジーベースでなくても構わない。それこそ何でもいいわけです。
また、自社内でのニーズとシーズのマッチング―弊社では「言行一致」と言っていますが―、そうした実践事例があれば、たぶん他社でも同じ課題があるから、「どうですか」と提案する。そこに他社の技術が入れば、なおいい…と取り組んできましたが、今はそれこそ何でもいい、という感じです。
中西(資生堂) お客様、生活者にとって新しい「経験」をつくることがイノベーションだと思います。特に私たちの会社は「ビューティー」に関わっていますから、新しい「美」に関する経験をつくることだと考えています。稲垣さんもおっしゃっているように、それこそシーズとニーズだけでなく何でもいい訳ですが、ただ起点となるのは生活している人、その生活がどう変わるのか-それが一番大きいのかなと思っています。常に生活者の目線で…。それがここ横浜に研究所を構える大きな理由になっています。
牛尾(村田製作所) 私はかつて社会人大学院に行っていて、入るとまさにこういう話をするわけです。まず、「技術革新」という間違った訳語が日本では浸透していますよね…というところから入っていきました。「イノベーション=技術革新」というのが一昔前にはありましたが、「それは違うよね」ということが今は当たり前になってきました。私としては、社会人のいろいろな人たちと議論をし、自分の中で整理した言葉でいうと「新結合」がイノベーションの一番適した訳語なのではないかと思っています。つまり新しいものが組み合わされることで、(新たに)生まれるもの-ということですね。お二人が言われたことも、まさにそういうことだと思います。
ある意味、「オープンイノベーション」という言い方自体、くどいですよね(笑)。シリコンバレーの人たちと話をしてきたのですが、そもそも向こうでは、もうオープンイノベーションという言葉はない…と。なぜならオープンでないところにイノベーションは生まれないから。最近の日本では、はやりすぎている感がある。「結合」することで最終的に大事なのは「新しい価値」を生み出すことです。これまでにない組み合わせの中で新しい結合が起こって、それが価値になった-という結果まで行って、イノベーションと捉えるのだと思います。
では、「最近のイノベーションって何?」と言われたら、私は「世の中の風景を変えたもの」だと思います。例えばスマートフォン。善し悪しは別にして、世界中でこんな“板”みたいなものをみんなが見て…なんて10年前にはそんな風景、なかったじゃないですか(笑)。明らかに世の中の風景や生活を変えてしまった。新しい価値があったから、そうなったのだと思います。

桶谷 良介さん

桶谷(富士通エフサス) 当社は2013年6月に「みなとみらいイノベーション&フューチャーセンター」を、このMM地区に開設しました。実はその1年前から全社的にイノベーションについての活動を始めていました。「サービス・イノベーション・フォーラム」という名称で、各界のイノベーターを講師に招き、全社員にWeb会議でLIVE配信していました。同年に中間管理職(40~45歳ぐらい)を対象に、イノベーションリーダー育成プログラムもスタートしました。期間は半年ぐらい。外部アドバイザーに付きっきりでプロデュースいただくかなりハードなもので、私も1期生として参加しました。
自動車など、ものづくりの業界と違い、当社では最初「サービス・イノベーション」という言い方をしていました。元々はサービスプロバイダー、つまり大型コンピューターの保守サービスがメインでした。そこから段々と、ICT(情報通信技術)インフラとしてサーバ、ネットワーク、セキュリティなどの各システムの構築・運用を手掛けてきました。そういう意味で新しいサービスを生み出していく上でのイノベーションだったわけです。しかし、自分たちだけで考えていくのは難しいので、幅広く外部の人と会ってディスカッションしたり、情報を取り込む「場」を設けたりすることで、イノベーションへの取り組みを育んできました。この拠点を構えてから、新しい発想を生み出す態勢などがさらに加速してきたように思います。新商品を生み出すだけでなく、新しい関係性を築いていくのもイノベーションの一部だと考えます。グループ企業など“内側”に閉じこもるのではなく、お客様やパートナー、社会、横浜市など地域とつながることが重要です。それがこの5年間の成果ではないかと思っています。

■立地は重要なファクター、増える「出会い」の機会

 -都市型R&Dについてお尋ねします。富士ゼロックスは早くからMMに進出しています。先駆者といいますか…。
稲垣 「生活者」というお話しがありましたが、われわれからすると「BtoB」なので、大企業のカスタマーの方々は都市にオフィスがあるわけです。(仮に郊外に研究者を集めても)現場から遠くなればなるほど「みんな、なぜ困っているのか」という課題が分からなくなってしまう。自分たちもお客様と近いところで働いて、課題を共有したいのです。実際の現場を見たり、打ち合わせをしたり…ということも都市にいないと難しい。また、イノベーションセンター的なものを立ち上げると、お客様に来てもらうので、やはり交通の便が良いところでないと…。いろいろ理由はありますが、お客様とのコミュニケーションという意味でも立地は重要なファクターだと思います。
もう一つ、現在は売り手市場ですが、リクルーティングを考えると、最近の若い人たちは都心に近いところでないと働きたくないというトレンドもありますし(笑)。事業所が横浜市外にあった以前と比べると、「みなとみらいだしビルもカッコイイ、何だか面白そう」というので、リクルートの面接の次に進む人たちが増えた-という話は聞きました。

中西 裕子さん

中西 弊社はもうすぐ完成(新研究所「グローバルイノベーションセンター」)しますが、理由は大きく2点あります。一つは、弊社は基礎研究が得意ですが、サイエンスとライフスタイルを合わせていきたいという思いが非常に強いです。お客様の生活やライフスタイルを追って、研究データと組み合わせてイノベーションを起こしていきたい-ということから、都市型オープンラボという形が実現できそうなMM地区を選びました。現在の研究拠点と比べ、横浜駅が近いということで、だいぶ雰囲気が違います。生活されたり、移動されたりする人の数が全然違うので。通勤など研究員の日常生活にも取り込みやすい…といいますか。
二つ目は、事業を企画するところが都内にありますが、そことの距離が近いとか、工場と近いとか、空港にも近いので海外との拠点とも近い-という利点があります。また、他の会社とも近いので、そこが魅力的ですね。先ほど「新結合」のお話しがありましたが、イノベーションは新しい価値、技術とぶつかり合わないとなかなか生まれないので、そのヒントを得たいというイメージもあります。 横浜駅の近くだと、多くの人たちの生活だったり趣味嗜好だったり、トレンドが肌感覚で分かるところも魅力的です。コミュニケーションも取りやすく、トレンドを追いやすい-ということでしょうか。
牛尾 弊社の場合、滋賀県にR&Dの拠点があって、そこで「新規事業を創出するひとつの取り組みとして、オープンイノベーションのようなこともやるべきですよね」という話になって、10年近くいろいろ取り組んできたという経緯があります。ただ、「誰とどう結び付くのか」というのが一番の課題でした。そこに居ても、研究者が外部の人と自然に出会うことはまずない(笑)。そこで、そういう機会をつくろうと大阪や京都でイベントなどをしましたが、せいぜい月に1回程度。大阪だけでも片道2時間ぐらいはかかりますし(笑)。もっと日常的にいろいろな人が出会ってこそ「あっ、これだね」と見つけて、それが最終的に共同開発や事業化につながるのだと思います。
「出会いの場が課題だな」と思っているときにたまたま、このMM地区に新社屋を造るという話を聞きました。それならオープンイノベーションにも使わないと…となって、そこから社内的にも議論するようになりました。一番期待しているのは、これだけの密集した地域の中に、本社機能やR&D機能を持つ大企業が数多く集積しているということです。こうした地域的な特徴を持つところは、ほとんど例がないのではないか。世界的に見てもかなりチャンスだなと思っています。この中で企業の壁を越えて技術者同士が自然に…ということが日常的に起きる。極端に言えば、地域で毎日イベント的なことが行われ、各社が集う場が次々と生まれてくるような…。将来的にはこうした状況が日常的に起こる地区になれば、イノベーションが生まれる。私が理想とする状況です。
もちろん企業だけでできるものでもないので、社会実装してみようという大きな話になった時に、例えば「ここで特区的に社会実験してみよう」となれば、当然、行政に入ってもらわねばならないし、市民に加わってもらったりもする訳です。そこに都市型のメリットも出てくる。さまざまな企業や人が集まる、こうした特性を持つMM地区は、非常に魅力的だと思います。新規事業というのは数を打つしかない。そのためには、こういうところで出会いの回数が増えないと。
桶谷 「日本・海外、みらい・歴史という地域性と時間性がクロスする、多様性にあふれる都市」-。これが、当社が抱くMMのイメージです。実は、MMに当センターを開設したのは偶然と言いますか、ひょんなことからでした。教育施設はかつて新川崎にあり、その後、横浜(関内)に移転した経緯があります。ところが東日本大震災が起き、耐震性の問題などから場所を移すことを検討せざるを得なくなりました。ランドマークタワーには元々、当社の営業拠点もありましたし、そのとき、たまたま空いていたのが(隣り合った)ここクイーンズタワーの2フロア(B棟9・10F)だったわけです。当社にイノベーション風土の醸成をアドバイスいただいた多摩大学大学院教授・知識イノベーション研究所(KIRO)代表 紺野登氏より、「イノベーションを起こすには、いろいろな人が触れ合う場が必要だ」と提案いただきました。そこで9階部分を思い切って「イノベーション&フューチャーセンター」として整備したわけです。
立地としては、海に面していますし最高の景色、ロケーションですね(笑)。都内だとなかなか、そうはいかないと思います。MMでは開発も進んでいますし、新しさを感じると同時に「ミナト横浜」らしいというか、世界とつながるイメージが持てます。施設としても壁を極力取り払うなど開放的な作りやデザインとなるよう工夫しており、ロケーションとも相まって利用される方々にも喜んでいただいています。実際、遠地のお客様からも、日常を離れ、MMのオープンなロケーションでワークショップを行うことはとても好評です。また先ほどもありましたが、社会的な交流にとどまらず、こうした雰囲気は、当社でも採用(人財確保)の面で若い人たちに良いイメージを持ってもらえる、当社の仕事をイメージしてもらえる-など、実際に効果が出ていると聞いています。

■多くの人々を結び付ける場に

 -これからの横浜市に期待することは。
稲垣 昔話をすると、本当は10年前にみんな(他社が)もっと来るはずだった。ところがリーマンショックが起きてしまい…。2010年にうちが建って、前年には日産さんが建っていますがグローバル本社ですから、R&Dとしてはうちだけ。ずっと(建設が)止まっていたので2013~14年までは野っ原でした。ですから、当初は「BtoB」で特定のお客様を呼んできては「何かできないか」とやっていました。それが3~4年ほど前から変わってきた。他社も進出することが分かったし、横浜市も一緒にやると言っている。だから、企業が自分のシーズ・ニーズを基に、個別にオープンイノベーションで人を呼んでくるというこれまでの段階から、この場を使ってみんなを呼び込もう、社会課題に取り組もう、もっと大きな事をやろう-となってきた。2、3年前からです。横浜市もセンター的なものを立ち上げると“宣言”したので、そこに向かって仲間で盛り上げていこうとしています。
もう一つ触れたいのは「イノベーターズコミュニティ」。こちらは関内のベンチャーや中小企業が中心ですが、そこと大企業がうまくブレンドして大きなものに結び付ける受け皿を、横浜市で整備しようとしています。イノベーションの場では大企業も中小企業も対等ですから、うまく(受け皿を)つくってくれれば、お互いハッピーになる。
また、先ほども話に出ましたが、社会実装をやろうとすると、個別の企業が国とやっても何もできない。法令とかさまざまな制約がありますから。それを横浜市が「ここでやりましょう」と言ってくれれば、さまざまな取り組みが一緒にできますから、そこはすごく期待しています。フレームワークをつくってくれれば乗りやすい、と言いますか。一つ一つを社の上層部に諮って…というのはかなり大変ですから。
中西 二つあります。一つはプラットフォームです。ここに来ればいろいろな人と出会える、大企業も中小企業も対等に会える…と。市として「イノベーションを促進する、日本一の良いプラットフォームを持っています」というふうになれば、とてもすてきなのではないかなと思います。
もう一つはやはり社会実装ですね。一番新しいことに寛容でチャレンジしていけるような環境を整えてもらえれば…。そこが一番期待しているところです。一企業にとって国とのハードルは非常に高いので、そこを柔軟に対応してもらえるような環境にしてほしい。そうすると、他の人たちから見ても、価値がものすごく高い土地として認められるのではないでしょうか。東京だとその辺り、大きすぎるといいますか対応しづらいのでは。その点でも横浜に期待しています。

牛尾 隆一さん

牛尾 横浜市に一方的に期待するのではないと思っています。行政と企業のすることが、まさにかみ合うことが大事です。「イノベーターズコミュニティ」の話は非常に期待というか共感を持っています。人(イノベーターズ)にフォーカスする意味で、名前も気に入っています。ベンチャーの人が集まるとか、私たちが主導でできることではないですから。そこは行政に期待したい。一方、私たちとしては、大企業の中にいるイノベーターたちをいかに外へ出していけるのか-だと思います。人が出てこないと事業は生まれません。
また、社会実装ですが、これはスピード感の話だと思います。一企業が国を相手にすると、とたんに動かなくなってしまう。このスピード感が圧倒的に世界に勝てない。例えば、中国ですがスピード感がすごいです。一国レベルの人口を抱えた上海市が特区になっている。ベンチャーは好きなことをやっていい-ということを国がしている訳です。これでは勝てないです。少なくとも、このMM地区では、アイデアが出たら社会実装してすぐ結果を出しましょう-というようになれば。行政としても余計な規制をいかになくして、ここへ来てもらえるか-。そうした、すぐ動けるような仕組みづくりに期待しています。
桶谷 最近東京でも東京駅周辺の新旧ビルディングにシェアオフィスを設けるなど、ベンチャーを結び付ける活動が盛んになってきていると思いますが、それに先駆けて横浜は、従来意識的に取り組んでいますね。東京の取り組みは「大・丸・有」(大手町・丸の内・有楽町)というらしいですが、横浜は若いイメージ、若者が集まるイメージがあります。「横浜で何かをやりたい」という人たちは多いのではないでしょうか。当センターでも実際、若者が集まってイベントを開きたいという話がよくきています。スタートアップ系の人たちや大企業のチャレンジ精神旺盛な若手社員らが主体ですが、こうした人たちがどんどん活躍できるような街づくりに期待しています。
稲垣 一つフォローさせてください。この地域の特徴としては、さまざまな大学が集積してくるということですね。神奈川大学が出てくると聞きますし、(周辺地域に目を向ければ)横浜国立大学もあればSFC(慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス)などもある。理工学系に強い大学があるというのもいいですね。
これまでは企業と大学の関係でいうと、知財権とか外部委託とか、そのくらいしかなかった。そこに横浜市という自治体がうまく絡んでくれると、「官民」に「学」が確実に入っていけると思います。企業が大学と結び付こうとすると、それこそ研究室単位になってしまいますから。
牛尾 もう一つ付け加えると、アートですね。「アート×テクノロジー」ということをいろいろな人が言いだしている。横浜市には日本を代表するアートの先進地という特徴があります。ここにエンジニアが集まってくるというのがまさに面白い。アーティストとエンジニアのかけ算というか。「アートシンキング」という言葉もあるし、実際の動きも出ています。そういう意味でも横浜市にはアドバンテージがあると思っています。
中西 トリエンナーレもありますしね。私としてはそれが一番楽しみだったりします(笑)。
牛尾 これまでは、どちらかというとアートだけのイベント、芸術祭のような感じでしたが、そこにテクノロジーが入ることでどうなっていくか-。これもある意味イノベーションなんですね。

■企業も変わる、人も変わる 始まる新たな挑戦

 -イノベーションと横浜の未来について一言お願いします。
稲垣 最近、大企業は「ブラック」と言われるのを恐れて「ホワイト化」しすぎている気がします(笑)。昔は仕事が終わった後に、先輩と何かに取り組んだり、読書会をしたりできたのですが、今は「帰れ!」と(笑)。昔は、いろいろなことが一番できる場が会社でした。今は家の方ができるから、できる人はいきなり世界に行ってしまう。実は会社でもない、家でもない「サードプレイス」を多くの人が求めていて、3~4年前からわれわれは「ここ(共創ラボラトリー)を使ってもいいよ」と。その一環で(エンジニアから会社員、ベンチャー、学生、子どもまでが集う交流の場)「ガジェットまつり」も始めました。仕事を終えた会社員らが集うには、MMはいい場所だと思います。
サードプレイスとは、自主的にいろいろな事ができるクラブハウスのような場でしょう。MMなら都心の友人も来てくれるし、ちょうどいいのではないか。ここで働く人たちにとっても良い場にしたい-そう思っています。
中西 私自身、ここのコミュニティに参加する機会が増えましたが、本当にいろいろな働き方をされている方が多いなと思います。それこそ“会社員の放課後”とでも言いますか。研究所で働いていると、そういう時間を持っている人はなかなかいないのではないでしょうか。社内で何かすることがあっても社外の方とオープンに話せるような状況がない。それができることで会社自身が変わるというのもいいことですが、働く人の人生とまでは言わないまでも、伝え方だったり、ものの考え方だったり、それが変わるということに期待していますし、私自身とても楽しみにしています。
牛尾 日本は今、まさに大きく変わろうとしているタイミングを迎えており、たまたま、そのまっただ中に私たちはいます。ある意味、これはチャンスだと思います。しかも、こういう場所が新たにできて、人も集まってくる。個人的にも好きなことをやれる場所ができるタイミングで、たまたまこれに関われたので「いろいろ、やったるか!」という感じですね(笑)。オープンイノベーションに関わる人たちの間では「もう、一企業のために-というのは違うでしょ」という考え方が出てきています。これから企業や個人の働き方がどう変わっていくか。ここはいろいろな新しいことにチャレンジできる面白い場所になるので、1人でも一緒にやってくれる人が増えたらいいなと思っています。
桶谷 横浜市全体、神奈川全体を見ると、80年代に“金妻”の舞台として話題だった、たまプラーザ駅に代表される多摩田園都市でも高齢化が進んでいるなど、さまざまな社会的課題が山積しています。よりよい都市になっていく上で、「イノベーターズコミュニティ」の構想は、それらを解決するきっかけになるのではないでしょうか。すごく期待しているところです。
また、先ほどの「大・丸・有」のような大企業が密集している場所に比べ、MM地区では一つになれるという親近感があるように思います。ここに集まってくる人たちも連帯感があるというか…。いろいろな企業がこれからも集まって来るということですから、何か面白いことができそうだな-そう感じます。ここにいると、他社の方と自然に会えるし、それぞれの企業風土や取り組み、仕事以外についても幅広い情報を知ることができます。期待感やワクワク感は大きいですね。

(横浜市西区の富士ゼロックス・お客様共創ラボラトリー、富士通エフサス・イノベーション&フューチャーセンターで)

【プロフィール】※五十音順
富士ゼロックス株式会社 お客様共創ラボラトリー シニアマネジャー
稲垣 政富さん
愛知県出身。名古屋大学大学院(情報工学)修了後、富士ゼロックス株式会社入社。AI技術開発等に従事した後、MIT大学院に海外留学(SDMプログラム修了)。帰国後、新規事業戦略立案、IT領域戦略策定、ユビキタス環境プロジェクト主導。2007年R&D新拠点移転プロジェクト価値共創テーマリーダーとして、お客様共創コンセプト立案から共創環境構築・運営のマネジメントに従事。

株式会社村田製作所 新規事業推進部 新規事業推進5課 オープンイノベーション推進チーム マネージャー
牛尾 隆一さん
兵庫県出身。1991年三菱化学株式会社に入社しハードディスクメディアの開発からシンガポール工場での量産立ち上げを担当した後、2001年に株式会社村田製作所に入社、積層セラミックコンデンサの商品開発を担当する。08年立命館大学にてテクノロジーマネメント(MOT)修士を取得後、技術企画部マネージャーとして全社技術戦略立案を担当する。12年より全社のオープンイノベーション推進を担当し、15年野洲事業所内にオープンイノベーションセンターを設立した。

株式会社富士通エフサス ビジネス企画推進本部 イノベーション&フューチャーセンター長
桶谷 良介さん
東京都出身、1995年早稲田大学商学部卒。不動産会社勤務を経て、98年に富士通エフサス入社。サービス商品の企画・販売推進を担当し、残業抑止対策ソフト(2010年~)、オフィスリニューアルサービス(13年~)などの働き方改革関連商品やソーシャルビジネス関連の新規サービスの企画を手掛ける。この間、多摩大学大学院教授で知識イノベーション研究所(KIRO)代表 紺野登氏監修の同社イノベーション・リーダー・プログラムを経て、18年から現職。

株式会社資生堂 R&D戦略部 研究企画推進G マネージャー
中西 裕子さん
岐阜県出身。名古屋大学大学院物質理学専攻(化学系)修士課程修了後、(株)資生堂へ入社。スキンケア商品の処方開発研究、化粧品基剤の基礎研究を経て、現在は、資生堂のR&D戦略、新規研究の企画立案に従事。最近の関心事は、人の多様性を知ること、テクノロジーを人にとって意味あるものに昇華させること、サイエンスとデジタル技術、サイエンス・デジタル技術とアートの融合。

SEE ALSO