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UPDATE: 2018/08/27

集積した人材と技術を生かして横浜でのより良いものづくりを目指す

ニットー代表取締役 藤澤秀行さん

■下請け体質からの脱却、自ら情報発信が大事

わが社はM&A(企業の合併・買収)により成長を遂げてきたという経緯があります。集積した人材と技術を生かして横浜でのより良いものづくりを目指しています。
観光の町のイメージが強い横浜ですが、ものづくりが盛んで約6000社の中小企業があります。産業の活性化、若手の雇用、後継者…とさまざまな問題を抱える中で、どうしたら若手にものづくりに興味を持ってもらえるだろうか。それには、横浜のものづくりの利点をもっとアピールする必要があります。そのためには、自ら動いて活動をしていかなければいけません。行政に頼り切りではなくて目指すべきものを形にしていくべきです。
顧客から開発案件の依頼を受ける中で依頼品だけではなく自社製品を展開していきたい。そうした「脱下請け」によって自社内の意識も変わっていく。下請け体質というのは、言われたことをやるだけであり、高度成長期はそれでも右肩上がりでしたが、今はいろいろな工夫をしないと難しい時代です。利益を出していくためには自社で開発し、発信していくことが大事です。
横浜青年経営者会という横浜市工業会連合会の若手会があります。メンバーは製造業に危機感を持ち、下請け体質を変えていくんだという共通意識を持っています。自分たちの技術を生かして一緒に活動すべく会員の中から有志で2014年、「ヨコハマメーカーズヴィレッジ」というブランドを立ち上げました。

どういうものづくりをしようか。横浜は港町でおしゃれというイメージがあるから、デザインという切り口で世界に発信できないか。世界一の展示会「ミラノサローネ」で認められるような製品を作ろう。10社の製造業とデザイナーで始めました。
3年計画でしたが、下請けと若手で作る製品が世界に受け入れられるだろうかという不安の中での1年目。資金面では経済産業省のJAPANブランド育成支援事業、横浜企業経営支援財団(IDEC)からサポートを受け、2017年にフラワーメタル(花器)を出展しました。金属のみを使って、花と花器、有機物と無機物の対比で表現した12作品は好評で、海外のデザインの雑誌やウェブサイトで取り上げられ反響がありました。不安が自信につながりました。2年目はことし(2018年)の4月、「光と反射」を表現し、これも好評。来年は集大成の年となります。
1社ではできないことを製造業同士がコラボし連携することで形にする。海外出展は地域の連携、今まで接したことのない人とのコミュニケーションにより新たな発見がありました。部品加工企業は形になって見える製品を作ることでモチベーションが上がりました。10社のみならず携わった人たちの意識も向上し、取り組みにも積極的になりました。
達成感だけではなく利益を生み出すことも課題です。ドバイの会社から見積もり依頼、インドのメーカーから協力依頼もありうまくいっています。地場の百貨店やホテルを販路としてこれからにつなげていきます。企業のオリジナルブランドを作ることでも参画していきたいです。

■新しい活動に向けて自らの殻を破る

製造業は、ベンチャーや新しい取り組みに対して拒否反応があります。イノベーションのような新しい活動をするには自らの殻を破らなければいけない。量産ものの仕事や企業の下請け仕事を続けていると、ベンチャーやデザイナーとの仕事に通常にはない煩わしさを感じてしまいます。具体的ではない漠然とした要求に対して既存の製造業は面倒くさいと思ってしまいます。しかし、そこでそうした新しい発想をしっかり受け止めることで製造業自身が一皮むけるのだと思います。行動することが新しいことを生み出す土壌です。同じやり方をやっていてはいけません。
海外目線も重要です。日本にいるとサイクルが早く、状況や環境の変化についていけない。むしろ海外のニーズに合わせたグローバルな視点が大切となります。
現在は、横浜の行政とも密に活動させていただいており、今は行政と製造業が近い関係だと感じています。意見交換会があり行政サービスも現場にフィットしています。バックアップも心強いです。

【プロフィール】
ニットー代表取締役 藤澤秀行さん
1973年3月、横浜市生まれ。横浜国立大学工学部卒業。横浜市近郊に工場を置く金属加工会社10社とデザイナーの技術を組み合わせたものづくりブランド「ヨコハマメーカーズヴィレッジ」リーダー。世界最大のデザイン見本市「ミラノサローネ」(イタリア)に2017年から出展し、そのデザインと加工力・製造力が高い評価を得た。

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